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熱間工具鋼 |
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| 1. 概 要 |
ORVAR SUPREME(オルバースープリーム)はその名のSupreme(最高)のとおり、高純度の微細構造をもった熱間工具鋼です。従来のAISI H13(SKD61)タイプの鋼に比べて等方向性が大幅に改善されています。等方向性は、ダイキャスト、鍛造、押出しなど強い機械的応力や熱疲労が作用する金型においては非常に重要な性質です。金型は靭性を下げることなく少し高めの硬さ(+1~2HRC)で使用することができるので、ヒートチェックによる割れの発生を抑え、高い金型性能が得られます。ORVARは北米ダイキャスト協会(NADCA)の改良型高品質H-13金型用鋼に認定されています。 |
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分析値 (%) |
C |
Si |
Mn |
Cr |
Mo |
V |
| 0.39 |
1.0 |
0.4 |
5.2 |
1.4 |
0.9 |
相当規格 |
AISI-H13改、W.Nr-1.2344 |
出荷条件 |
180HB以下に焼鈍 |
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| 2.用 途 |
ダイキャスト用金型
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スズ・鉛 亜鉛合金 |
アルミ・マグネ シウム合金 |
銅合金 |
ダイ |
46-50HRC |
42-48HRC |
- |
コア、入れ子 |
46-52HRC |
44-48HRC |
- |
スプール部品 |
48-52HRC |
46-48HRC |
- |
ノズル |
35-42HRC |
42-48HRC |
- |
エジェクタピン(窒化) |
46-50HRC |
46-50HRC |
46-50HRC |
プランジャーショット
スリーブ(通常窒化) |
42-46HRC |
42-48HRC |
- |
焼入れ温度 |
1020-1030℃ |
1040-1050℃ |
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押出し用金型
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アルミ・マグネ シウム合金 |
銅合金 |
ステンレス鋼 |
ダイ |
44-50HRC |
43-47HRC |
45-50HRC |
バッカーダイホルダ
ライナー
ダミーブロックステム |
41-50HRC |
40-48HRC |
40-48HRC |
焼入れ温度 |
1020-1030℃ |
1040-1050℃ |
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熱間プレス用金型
材料 |
焼入れ温度 |
硬さ |
アルミ、マグネシウム |
1020-1030℃ |
44-52HRC |
銅合金 |
1040-1050℃ |
44-52HRC |
鋼 |
1040-1050℃ |
40-50HRC |
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プラスチック用金型
用途 |
焼入れ温度 |
硬さ |
射出成形、圧縮成形
トランスファー成形 |
1020-1030℃ 焼戻し250℃ |
50-52HRC |
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その他の用途
用途 |
焼入れ温度 |
硬さ |
過酷な冷間パンチ
スクラップのせん断 |
1020-1030℃ 焼戻し250℃ |
50-52HRC |
熱間せん断 |
1020-1030℃ 焼戻し250℃ または 575-600℃ |
50-52HRC
46-50HRC |
収縮リング
(超硬ダイスなど) |
1020℃ 焼戻し560-620℃ |
40-50HRC |
耐摩耗性部品 |
1020℃ 焼戻し560-620℃ 窒化 |
中心50-52HRC 表面〜1000HV |
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| 3.特 性 |
物性値
温度 |
20℃ |
400℃ |
600℃ |
密度 Kg/m³ |
7,800 |
7,700 |
7,600 |
弾性率 1000 MPa |
210 |
180 |
140 |
熱膨張率 10-6 m/(m.K) |
- |
12.6 |
13.2 |
熱伝導率 W/(m.k) |
25 |
29 |
30 |
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機械的性質 (室温)
硬さ (HRC) |
52 |
45 |
引張り強さ(Rm) MPa |
1820 |
1420 |
降伏強さ(Rp0.2) MPa |
1520 |
1280 |
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高温での強さ(長手方向)
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高温での経過時間と硬さの関係
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温度と衝撃強さとの関係(シャルピーVノッチ、横断方向)
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| 4.熱処理 |
焼 鈍 材料を保護し850°Cまで加熱します。次に炉内で650℃まで毎時10℃の割合で冷却し、その後大気冷却します。 |
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応力除去 金型を粗加工後650℃まで加熱し2時間保持します。次に500℃まで徐冷し、その後大気冷却します。 |
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焼入れ 予然温度: 600 - 850℃(通常は予熱を2段階で行う) 焼入れ温度: 1020-1050℃(通常は1020−1030℃) 材料の脱炭および酸化の防止策が必要です。
温度 |
均熱時間 |
焼戻し前硬さ |
1025℃ |
30分 |
53±2 HRC |
1050℃ |
15分 |
54±2 HRC |
均熱時間=材料が焼入れ温度に達した後の保持時間 |
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冷却媒体 ■ 早い冷却速度と炉内温度が均一になるような雰囲気 ■ 真空(加圧状態の高速ガス)。そりや冷却割れ防止のために断続冷却が望ましい。 ■ 450-550℃のマルテンパー浴または流動層、事後空冷 ■ 180-220℃のマルテンパー浴または流動層、事後空冷 ■ 温油 注1: 金型の温度が50-70℃まで下がったら直ちに焼戻しをして下さい。 注2: 冷却速度は速い方が好ましいですが、変形や割れに注意してください。 |
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焼戻し 下図により必要な硬さに対する焼戻し温度を選定します。2回以上、緩やかな冷却速度で室温まで戻します。焼戻しは180℃以上の温度で2時間以上保持します。425-550℃の温度域では靭性が低下するので、焼戻しを行わないで下さい。
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焼戻し温度と衝撃強さの関係 (シャルピーVノッチ、横断方向)
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焼入れ時の寸法変化
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巾 % |
長さ % |
厚さ % |
1020℃から油焼入れ |
min |
-0.08 |
-0.06 |
±0 |
| max |
-0.15 |
-0.16 |
+0.30 |
1020℃から空気焼入れ |
min |
-0.02 |
-0.05 |
±0 |
| max |
+0.03 |
+0.02 |
+0.05 |
1020℃から真空焼入れ |
min |
+0.01 |
-0.02 |
+0.08 |
| max |
+0.02 |
-0.04 |
+0.12 |
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焼戻し時の寸法変化

最終の寸法変化量は、焼入れ時と焼戻し時の変寸の和になります。 |
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| 5.窒 化 |
窒化は金属表面に硬い層を形成し、摩耗や溶損に対する強い抵抗力を与えます。一方、窒化層は脆く、機械的や熱的な衝撃を受けると割れや剥離が生じることがあります。この危険性は層が厚いほど大きくなります。そのために、窒化に先立ち、金型の焼入れと窒化温度より50℃以上高い温度での焼戻しが必要になります。
510℃のアンモニアガス中での窒化、あるいは480℃の水素(75%)-窒素(25%)ガス中でのプラズマ窒化では1100HV0.2程度の表面硬さが得られます。一般に、窒素ポテンシャルが制御しやすいイオン窒化法が用いられていますが、特に熱間金型の障害になる白層の形成が避けられるという長所があります。また、ガス窒化でも、注意深く行うと、十分な結果を得ることができます。ORVARはガスあるいは塩浴で浸炭窒化を行うことができ、900-1000HV0.2の表面硬さが得られます。
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時間 |
窒化深さ |
510℃でガス窒化 |
10 時間 |
0.12 mm |
| 30 時間 |
0.20 mm |
480℃でプラズマ窒化 |
10 時間 |
0.12 mm |
| 30 時間 |
0.18 mm |
炭窒化 |
580℃のガス |
2.5 時間 |
0.11 mm |
| 580℃の塩浴 |
1 時間 |
0.06 mm |
深さが0.3 mm以上の窒化は熱間用途には適しません。ORVARは焼鈍状態でも窒化処理することができますが、硬さや深さは少し減少します。 |
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| 6.機械加工 |
下表のデータは、目安であり実際の条件に合わせて調整して下さい。 |
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旋盤加工
加工条件 |
超 硬 |
高速度鋼 精密加工 |
| 粗加工 |
精密加工 |
切削速度 (m/min) |
150−200 |
200−250 |
30 |
送り (mm/rev) |
0.3-0.6 |
-0.3 |
-0.3 |
切込み深さ (mm) |
2-6 |
-2 |
-3 |
超硬 ISO |
P20、P30 コーティング |
P10 コーティングまたは サーメット |
- |
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フライス加工 − 正面削り
加工条件 |
超 硬 |
高速度鋼 精密加工 |
| 粗加工 |
精密加工 |
切削速度 (m/min) |
160−200 |
210−280 |
35 |
送り (mm/rev) |
0.2-0.4 |
0.1-0.2 |
-0.1 |
切込み深さ (mm) |
2-5 |
-2 |
-2 |
超硬 ISO |
P20、P40 コーティング |
P10、P20 コーティングまたは サーメット |
- |
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フライス加工 − エンドミル加工
加工条件 |
超 硬 |
高速度鋼 |
| 一体型 |
挿入型 |
切削速度 (m/min) 1) |
70 |
130−180 |
35 |
送り (mm/rev) 2) |
0.03-0.20 |
0.08-0.2 |
0.05-0.35 |
超硬 ISO |
K10、P40 |
P20、P30 |
- |
1) コーティング高速度鋼では切削速度は45m/min以下 2) 半径方向の切込深さと刃物の径によって異なります。 |
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高速度鋼ツイストドリル加工
ドリル径 |
切削速度 (m/min) |
送り (mm/rev) |
-5 |
17 |
0.08-0.20 |
5-10 |
17 |
0.20-0.30 |
10-15 |
17 |
0.30-0.35 |
15-20 |
17 |
0.35-0.40 |
コーティング高速度鋼では切削速度は24m/min以下 |
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超硬ドリル加工
ドリルタイプ |
切削速度 (m/min) |
送り (mm/rev) 2) |
挿入型 |
180-220 |
0.03-0.10 |
一体型 |
80 |
0.10-0.25 |
ろう付け型1) |
60 |
0.15-0.25 |
1) 内部冷却チャンネルとろう付チップを有するドリル 2) ドリル径による |
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研 削 次のような研削砥石が推奨されます。
研削方法 |
焼鈍状態 |
焼入れ状態 |
正面研削(平形砥石) |
A46HV |
A46GV |
正面研削(セグメント) |
A24GV |
A36GV |
円筒研削 |
A46LV |
A60JV |
内面研削 |
A46JV |
A60IV |
輪郭研削 |
A100LV |
A120JV |
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| 7.溶 接 |
金型の溶接でよい結果を得るためには十分な注意が必要になります。- 接合部はきれいに前処理しておきます。
- 補修溶接は加熱状態で行います。同じ径の溶接棒を用いて同一電流で初期の第2層まで溶接します。
- アークはできるだけ短く保ちます。アンダーカツトをできるだけ小さくするために溶接棒の角度は接合部に対して90゜にします。また進行方向に対しては75−80゜の角度に保持します。
- 大きな補修の場合、初期層は柔らかい溶加材で溶接します(緩衝層)。
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溶接方法 |
TIG |
MMA |
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溶接温度 |
325-375℃ |
325-375℃ |
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溶接棒6 |
QRO90 TIG-WELD |
QRO90 WELD |
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溶接後の硬さ |
50-55 HRC |
50-55 HRC |
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溶接後の熱処理 |
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焼入れ条件 |
初期焼戻し温度より20℃低い温度で焼戻しをします。 |
焼戻し条件 |
保護雰囲気で850℃で焼鈍し後、炉内で毎時10℃の
割合で冷却し、650℃になったら大気解放します。 |
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| 8.放電加工 |
放電加工を焼入れ-焼戻し状態で行う場合は、研磨や砥粒で白層を完全に取り除いてください。その後、金型を前の焼戻し温度より25℃低い温度で再焼戻しをして下さい。 |
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| 9.クロムメッキ |
メッキ終了後、水素脆性防止のために180℃で4時間焼戻しをして下さい。 |
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| 10.フォトエッチング |
ORVARはフォトエッチング法によるシボ加工に特に優れています。高い均質性と低硫黄成分のため、精密で安定したパターンが得られます。 |
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| 11.研磨 |
ORVARは焼入れ-焼戻し状態で良好な研磨性を発揮します。研削後の研磨ではアルミナあるいはダイヤモンドペーストが使われます。その手順は次のとおりです。- 研磨砥石または砥粒で180-320粒度まで粗研磨します。
- 研磨紙または400-800粒度の研磨剤で精密研磨します。
- 柔らかい木または布製の研磨道具を用いて、15番(15ミクロン粒度)のダイヤモンドペーストで磨きます。
- 柔らかい木または布製の研磨道具を用いて、3番(3ミクロン粒度)のダイヤモンドペーストで磨きます。
- 高度の表面仕上げをする場合には、布製の磨きパッドを用いて、1番(1ミクロン粒度)のダイヤモンドペーストで仕上げをします。
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