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冷間工具鋼 |
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| 1. 概 要 |
SLEIPNER (スレイプナー)は、クロムーモリプデンーバナジウム系の合金工具鋼で、次の特徴を備えています。- 優れた耐摩耗性
- 優れた耐チッピング性
- 高い圧縮強度
- 高温焼戻し後の高い硬度(60HRC以上)
- 優れた焼入れ性
- 焼入れ安定性
- 優れた焼戻し軟化抵抗
- 優れたワイヤ放電加工性
- 優れた機械加工性および研磨性
- 優れた表面処理特性
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分析値 (%) |
C |
Si |
Mn |
Cr |
Mo |
V |
| 0.9 |
0.9 |
0.5 |
7.8 |
2.5 |
0.5 |
相当規格 |
- |
出荷条件 |
235HB以下に焼鈍 |
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| 2.用 途 |
SLEIPNERは、冷間作業用金型鋼として幅広い用途に対応しています。引っ掻き摩耗と凝着摩耗が複合した場合の抵抗力や耐チッピング性に優れている上に、高温焼戻しでも60HRC以上の硬さが得られるなどの特性があるため、窒化やPVDなどの表面処理を高強度の生地に行うことができます。さらに、ワイヤ放電加工で大きなブロックから60HRC以上の硬さで複雑な形状をした素材を切り出すことが可能で、割れの危険性もほとんどありません。
SLEIPNERは、耐摩耗性や耐チッピング性が要求される環境で中間の連続運転を行う金型用の材料としてお勧めできます。
(用途例) 打抜きおよび精密打抜き、せん断、成形、コイニング、冷間鍛造、冷間押出し、ねじ転造、引抜きおよび深絞り、圧粉加工(粉末冶金用) |
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| 3.特 性 |
物性値
温度 |
20℃ |
200℃ |
400℃ |
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密度 Kg/m³ |
7,730 |
7,680 |
7,620 |
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弾性率 1000 MPa |
205 |
190 |
180 |
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熱膨張率 10-6 m/(m.K) |
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低温戻し後(60 HRC) |
- |
12.7 |
- |
高温戻し後 |
- |
11.6 |
12.4 |
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熱伝導率 W/(m.k) |
- |
20 |
25 |
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比熱 J/(Kg.k) |
460 |
- |
- |
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圧縮強さ (概略値)
硬さ HRC |
50 |
55 |
60 |
62 |
64 |
圧縮降伏強度 MPa |
1,700 |
2,050 |
2,350 |
2,500 |
2,650 |
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チッピング抵抗 同じ硬さの冷間鋼種間で相対的チッピング抵抗性を比較すると次のようになります。
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引っ掻き磨耗抵抗 同じ硬さの冷間鋼種間で相対的引っ掻き摩耗率を比較すると次のようになります。 (値が低いほど耐摩耗性が高くなります)
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| 4.熱処理 |
焼 鈍 材料を保護し850℃まで加熱します。次に炉内で650℃まで毎時10℃の割合で冷却し、その後大気冷却します。 |
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応力除去 金型を粗加工後650℃まで加熱し2時間保持します。次に500℃まで徐冷し、その後大気冷却します。 |
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焼入れ 予然温度: 650 - 750℃ 焼入れ温度: 950-1080℃(通常は1030−1050℃) 保持時間: 30分 材料の脱炭および酸化を防止する対策が必要です。 |
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冷却媒体 ■ 加圧ガス循環雰囲気 ■ 真空(加圧下における高速ガス) ■ 500-550℃のマルテンパー浴または流動層 ■ 200-350℃のマルテンパー浴または流動層 ■ 油(単純形状の場合のみ) 注: 金型の温度が50-70℃まで下がったら直ちに焼戻しをして下さい。
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焼戻し 下図により必要な硬さに対する焼戻し温度を選定します。2回以上、緩やかな冷却速度で室温まで戻します。焼戻しは180℃以上の温度で2時間以上保持します。
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寸法変化 焼入れ一焼戻し後の変寸値は次のようになります。 焼入れ: 1030℃/30分、真空炉で800℃から500℃でまで0.75℃/秒の速度で冷却 焼戻し: 種々の温度で2時間×2回 試験片寸法: 100×100×100mm
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サブゼロ処理 使用中の高い寸法安定性が要求される素材は、サブゼロ処理をしておく必要があります。サブゼロ処理は残留オーステナイトの量を減らし、硬さを下図のように変化させます。 焼入れ: 1030で/30分 焼戻し: 種々の温度で2時間×2回
(実線: サブゼロなし、 点線: サブゼロ有)
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| 5.表面処理 |
通常、冷間鋼は耐摩耗性を高めるために表面処理が行われます。代表的な処理法は窒化、PVDおよびCVDなどの耐摩耗層を形成する表面処理です。良好な寸法安定性とともに高い硬さと良好な耐チッピング性を備えたSLEIPNERは、各種の表面処理においての生地材とし最適な鋼といえます。 |
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窒化と軟窒化 窒化と軟窒化により摩耗やかじりに対する高い抵抗性が得られます。窒化後の表面硬さはおよそllOOHVo、2Kgfとなります。窒化層の厚さはそれぞれの用途に応じて調整されます。 |
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PVD 物理蒸着法(Physical Vapour Deposition)は200-500℃の温度で耐摩耗コーティングを行う方法です。 |
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CVD 化学蒸着法(Chemical Vapour Deposition)は1000℃前後の温度で耐摩耗性の有るコーティングを行う方法です。表面処理の後に、金型を真空炉で焼入れー焼戻しを別々に行います。 |
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| 6.機械加工 |
下表のデータは、硬さ235HB程度の焼鈍材を切削する場合の目安であり実際の条件に合わせて調整して下さい。 |
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旋盤加工
加工条件 |
超 硬 |
高速度鋼 精密加工 |
| 粗加工 |
精密加工 |
切削速度 (m/min) |
100−150 |
150−200 |
17−22 |
送り (mm/rev) |
0.2-0.4 |
0.05-0.2 |
0.05-0.3 |
切込み深さ (mm) |
2-4 |
0.5-2 |
0.5-3 |
超硬 ISO |
K20、P20 |
K10、P15 |
- |
超硬 US |
C2、C6 |
C3、C7 |
- |
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フライス加工 − 正面削り
加工条件 |
超 硬 |
| 粗加工 |
精密加工 |
切削速度 (m/min) |
140−180 |
180−220 |
送り (mm/rev) |
0.2-0.4 |
0.1-0.2 |
切込み深さ (mm) |
2-5 |
-2 |
超硬 ISO |
K20、P20 |
K10、P15 |
超硬 US |
C2、C6 |
C3、C7 |
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フライス加工 − エンドミル加工
加工条件 |
超 硬 |
高速度鋼 |
| 一体型 |
挿入型 |
切削速度 (m/min) 1) |
80−120 |
100−140 |
13-18 |
送り (mm/rev) 2) |
0.006-0.20 |
0.06-0.2 |
0.01-0.33 |
超硬 ISO |
K10、P40 |
P15、P40 |
- |
超硬 US |
C3、C5 |
C5、C6 |
- |
1) コーティング高速度鋼では切削速度は30m/min 2) 半径方向の切込深さと刃物の径によって異なります。 |
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高速度鋼ツイストドリル加工
ドリル径 |
切削速度 (m/min) |
送り (mm/rev) |
-5 |
15 |
0.05-0.10 |
5-10 |
15 |
0.10-0.20 |
10-15 |
15 |
0.20-0.25 |
15-20 |
15 |
0.25-0.30 |
コーティング高速度鋼では切削速度は25m/min |
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超硬ドリル加工
ドリルタイプ |
切削速度 (m/min) |
送り (mm/rev) 2) |
挿入型 |
140-160 |
0.05-0.15 |
一体型 |
80-100 |
0.10-0.25 |
ろう付け型1) |
45-55 |
0.10-0.25 |
1) 内部冷却チャンネルとろう付チップを有するドリル 2) ドリル径による |
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研 削 次のような研削砥石が推奨されます。
研削方法 |
焼鈍状態 |
焼入れ状態 |
正面研削(平形砥石) |
A46HV |
A46GV |
正面研削(セグメント) |
A24GV |
A36GV |
円筒研削 |
A46LV |
A60JV |
内面研削 |
A46JV |
A60IV |
輪郭研削 |
A100LV |
A120JV |
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| 7.溶 接 |
金型の溶接でよい結果を得るためには十分な注意が必要になります。- 接合部はきれいに前処理しておきます。
- 補修溶接は加熱状態で行います。同じ径の溶接棒を用いて同一電流で初期の第2層まで溶接します。
- アークはできるだけ短く保ちます。アンダーカットをできるだけ小さくするために溶接棒の角度は接合部に対して90゜にします。また進行方向に対しては75−80゜の角度に保持します。
- 大きな補修の場合、初期層は柔らかい溶加材で溶接します(緩衝層)。
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溶接方法 |
溶接棒 |
溶接後の硬さ |
TIG |
Type AWS ER312 |
300 HB (緩衝層) |
UTP A67S |
55-58 HRC |
UTP A696 |
60-64 HRC |
Casto Tig 5 * |
60-64 HRC |
MMA (SMAW) |
Type AWS ER312 |
300 HB (緩衝層) |
Castlin 2 |
54-60 HRC |
UTP 67S |
55-58 HRC |
UTP 69 |
60-64 HRC |
Castlin 6 |
60-64 HRC |
* クラックが発生する恐れがあるので4層以上は溶接しないで下さい。 |
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| 8.火炎焼入れ |
800−12001/hの容量のある酸素アセチレン装置を使います。酸素圧力を2.5bar、アセチレン圧力を1.5barに設定し、中性炎になるように調整します。温度は980−1020℃にし、空気自然冷却とします。硬さは、表面で58−62HRC、3-3.5mmの深さで41HRC(400HB)になります。 |
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| 9.放電加工 |
放電加工を焼入れ一焼戻し状態で行う場合は、作業の最後に仕上放電加工(低電流、高電圧)を行ってください。 高い金型性能を得るためには放電加工面は研磨し、金型を通常の焼戻し温度より25で低い温度で再焼戻しをして下さい。大型のものや複雑な形状のものを放電加工する場合には、500°C以上の高い温度で焼戻しをして下さい。 |
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冷間工具鋼の材料特性比較
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