Uddeholm KK Product Data Sheet

uddeholm プラスチック金型用鋼 stavax
line
1. 概 要 applicationSTAVAXは、クローム合金ステンレスエ具鋼です。STAVAXには、次の様な特長があります。
  • 優れた耐食性
  • 抜群の鏡面性
  • 優れた耐摩耗性
  • 優れた機械加工性
  • 焼入れ時の寸法変化が非常に少ない
これらの諸特性は、顕著な生産性を発揮しますが、プラスチック金型の耐食性における実際の利点を要約すると次の様になります。
  • 維持管理費の低減
    キヤピティー表面の状態を、いつまでも美しく保ち、生産数の増大につながります。
    金型の保管、または、湿った環境での成形加工でも、防錆のための特別な保護が必要ありません。
  • 生産費の低減
    冷却回路への腐食の影響で、熱伝導性の影響を受けないため、効果的な冷却が行え、確実に安定した成形サイクルの生産が実現します。
これらの利点は、STAVAXの耐摩耗性と相まって、成形業者に対し、金型維持費の低減、金型ロングライフなど、成形全般にわたる大幅な節約をもたらします。
注記: STAVAXは、エレクトロスラグ溶解法(ESR)により製造されているため、均質で非常に少ない介在物になっています。
 
分析値 (%) C Si Mn Cr V
0.38 0.9 0.5 13.6 0.3
相当規格 AISI-420改 DIN-1.2083
出荷条件 調質材: 27-35 HRC
焼鈍材: 200HB以下に軟化焼鈍
2.用 途 STAVAXは、あらゆるタイプの成形金型に推奨できます。特に下記のような用途に適しています。
  • 錆、汚れに対する耐食性
    腐食性材質の成形加工用、例えばPVC、アセテートなど。湿った状態での作業や保管の場合。
  • 耐摩耗性
    熱硬化性樹脂やガラス入り樹脂などの成形用、また、電気電子部品、使い捨て容器、航空機、食用ナイフ・フォークなどの成形製品。
  • 高度の鏡面性
    カメラやサングラスレンズのような光学部品、注射器や分析用容器などの医療機器。
 
金型の種類 推奨硬さ HRC
射出成形用 -
熱可塑性樹脂型 50-54
熱硬化性樹脂型 50-54
コンプレッション・トランスファー型 50-54
プロー成形型(PVC、PET等) 45-54
押出し、引抜き用ダイ 45-54
  beaker
キャビティーコアが、STAVAXで作られた6個取り、使い捨てビーカーです。非常に高度の鏡面を持ち、既に100万ショット以上生産しています。
3.特 性 物性値 (焼入れ、焼戻し後の硬さ50HRC)
温度 20℃ 200℃ 400℃
密度 Kg/m³ 7,800 7,750 7,700
弾性率 1000 N/mm² 200 190 180
熱膨張率 10-6 m/(m.K) - 11.0 12.0
熱伝導率 W/(m.k) 16 20 24
比熱 J/(Kg.k) 460 - -
  引張り強さ (1025±10℃で油焼入れ、焼戻し2回、室温)
硬さ HRC 55 50 45
抗張力 Rm N/mm&cup2; 2,050 1,780 1,420
降伏点 Rp N/mm&cup2; 1,610 1,460 1,280
絞り Z% (参考値) 27 30 40
伸び率 A5% (参考値) 8 10 12
  衝撃強さ (シャルピー 室温)

impact
  耐食性
STAVAXは、水、水蒸気、弱い有機酸および硝酸塩、炭酸塩、その他、希釈塩類溶液のような弱い腐食性の媒体には浸食されません。STAVAXで作った金型は保管状態の時や、湿った環境での成形時および通常の操業状態での腐食性樹脂の成形においても、抜群の耐食性を発揮します。STAVAXは、低温焼戻しのとき、最も耐食性があり、鏡面に磨くことができます。

corrosion
4.熱処理 軟化焼鈍
表面の脱炭を防止して、金型を780℃の温度まで充分加熱した後、1時間当り10℃の割合で650℃まで冷却してから空冷して下さい。
  歪み取り
粗加工後、金型を650℃まで加熱し、2時間保持して下さい。その後、500℃まで徐冷してから空冷して下さい。
  焼入れ
予然温度: 600-850℃
焼入れ温度: 980-1050℃ (通常は1020−1030℃)

温度 (℃) 保持時間 (分) 焼戻し前の硬さ (HRC)
980 40 52±2
1020 30 56±2
1050 20 57±2

保持時間=金型が表面と中心部まで充分に加熱された後の温度からの時間。
脱炭防止=焼入れ時、酸化、脱炭を防止しなければなりません。
  冷却媒体
■ 油
■ 200〜550℃で1〜100分間マルテンパーバス、その後空冷
■ 衝風
■ 空気循環または雰囲気
※ 金型の温度が50〜70℃に達したら、ただちに焼戻しをしてドさい。

austenite
  焼戻し
下図により必要な硬さに対する焼戻し温度を選定します。2回以上、緩やかな冷却速度で室温まで戻します。焼戻しは180℃以上の温度で2時間以上保持します。

temper
  寸法変化
焼入れ・焼戻しの間の寸法変化は熱処理の温度、装置の違いおよび冷却媒体によって非常にことなります。工具の形状の寸法および対象性も重要です。従って、工具は常に十分な寸法変化を捕えるような寸法公差を持って加工する必要があります。STAVAXに対しては約0.15%の寸法変化を考えて下さい。

1020℃で焼入れ 巾 (%) 長さ (%) 厚さ (%)
油焼入れ 最小 +0.02 +0.02 +0.04
  最大 -0.05 -0.03 -
マルテンパーリング 最小 +0.02 0 -0.04
  最大 -0.03 +0.03 -
空気焼入れ 最小 -0.02 0 0
  最大 +0.02 0 0
真空焼入れ 最小 +0.01 0 -0.04
  最大 -0.02 +0.01 -


STAVAXで作られたPVCプラスチックの鉛管用継手
deform

焼戻しによる寸法変化
deform

(最終的な寸法変化量は焼入れ時と焼戻し時の寸法変化の合計になります)
5.機械加工 下表のデータは、硬さ215HB程度の焼鈍材を切削する場合の目安であり実際の条件に合わせて調 整して下さい。
   旋盤加工
加工条件 超 硬 高速度鋼
仕上加工
粗加工 仕上加工
切削速度 (m/min) 160−210 210−260 18−23
送り (mm/rev) 0.2-0.4 0.05-0.2 0.05-0.3
切込み深さ (mm) 2-4 0.5-2 0.5-3
超硬 ISO P20、P30
コーティング
P10、P20、P30
コーティング
またはサーメット
-
   フライス加工
加工条件 超 硬 高速度鋼
仕上加工
粗加工 仕上加工
切削速度 (m/min) 200−260 260-300 30
送り (mm/rev) 0.2-0.4 0.1-0.2 0.1
切込み深さ (mm) 2-5 -2 -2
超硬 ISO P20、P40
コーティング
P10、P20
コーティング
またはサーメット
-
   ドリル加工 (高速度鋼ドリル)
ドリル径 切削速度 (m/min) 送り (mm/rev)
-5 14 0.08-0.20
5-10 14 0.20-0.30
10-15 14 0.30-0.35
15-20 14 0.35-0.40
TiNコーティングドリルの場合は切削速度=20m/min
   研 削
次のような研削砥石が推奨されます。
研削方法 焼鈍状態 焼入れ状態
正面研削(平形砥石) A46HV A46GV
正面研削(セグメント) A24GV A36GV
円筒研削 A46LV A60JV
内面研削 A46JV A60IV
輪郭研削 A100LV A120JV
6.溶 接 金型の溶接でよい結果を得るためには十分な注意が必要になります。
  • 接合部はきれいに前処理しておきます。
  • 補修溶接は加熱状態で行います。同じ径の溶接棒を用いて同一電流で初期の第2層まで溶接します。
  • アークはできるだけ短く保ちます。アンダーカットをできるだけ小さくするために溶接棒の角度は接合部に対して90゜にします。また進行方向に対しては75−80゜の角度に保持します。
  • 大きな補修の場合、初期初は柔らかい溶加材で溶接します(緩衝層)。
  • 磨きとシポ加工の場合は金型材と同じ溶接棒を使用して下さい。
 
溶接方法 加工温度 ℃ 溶接棒 溶接後の硬さ
TIG 200-250 STAVAX TIG-WELD 54-56 HRC
MMA (SMAW) 200-250 STAVAX WELD 54-56 HRC
   溶接後の熱処理
  • 焼入れ状態 ー 通常の焼入れ温度の10-20℃以下で焼戻しを行います。
  • 焼鈍状態 − 780℃迄の加熱は保護ガス中で行います。650℃までに10℃/hrで炉冷し、その後空冷します。
  boilerSTAVAXで作った最新式電気湯沸かし器の本体の金型
7.シボ加工 STAVAXは極めて均質な組織を持ち、非金属介在物もほとんど含まれていないので、シポ加工に最適です。一方、極めてすぐれた耐食性を持っているため、通常のシボ加工とは異なる特別の加工法を必要とする場合があります。詳細はお問い合せ下さい。
8.鏡面仕上げ STAVAXは、焼入れ、焼戻しの状態で非常に優れた鏡面性が得られます。代表的な磨きの手順は次の通りです。
  1. 最初に粒度180〜320の砥石で研摩し、良好な面に仕上げる。
  2. 粒度400〜800のペーパーかパウダーで研摩。
  3. 繊維または軟木の研摩工具を使い、粒度12、粒度6及び3μmのダイヤモンドペーストで研摩。
  4. 特に高度の表面仕上げを必要とする場合は、繊維製のみがきパットを使い、粒度1μmのダイヤモンドペーストで研摩。
  rain
STAVAXで作った8個取りのPVC樹脂雨とい用のブラケット