連載: ウッデホルム技術講座 (第1回)

金型加工表面の高機能化について
hihara
近年の金型加工は加工表面の高機能化と品質安定性が求められいる。そのなかでもめざましい発展を遂げている放電加工技術については、加工変質層の高機能化や表面の改質手法を確立しなければ、金型の安定操業(高寿命化)を維持できないことが多い。

金型の高機能化と品質安定性の確保を阻害させる要因には、次のような要素が複雑に関係している。
  1. 金型の機械加工面(前加工による加工傷、ツールマークなど)の状態
  2. 放電加工変質層の存在
  3. 金型への不適切な表面処理
  4. 操業過程での金型のメンテナンス・補修技術
高機能、高品質の確保は各項目の管理技術と製造技術の両者が共に企業内で確立されて初めて達成できるものであり、それにより大きな操業経費の削減効果が期待できる。

金型鋼への複合表面処理や形彫り放電加工面への複合処理(ピ−ニング、レ−ザ処理、窒化処理等)による改質並びに粉末混入放電加工面の高靭性化に及ぼす機能性表面層の諸特性(ヒ−トチェック性、溶損性、熱衝撃性、剥離性など)の影響を見ると次のように考えられる。
  1. 金型表面は操業過程においてヒートチェックが引張応力の集中部や機械加工面を起点として発生し、金型の寿命低下を誘発させる。
  2. 前記の改善策には、磨きによるツールマークや変質層の除去および窒化処理やピーニング処理が有効となるが、磨き処理には時間と経費の問題から限界があるので、窒化処理やピーニング処理による金型表面への圧縮応力の付加が寿命改善に有効である。
  3. 窒化処理において表面の白層(窒化物)は耐溶損性に有効となるが、高い硬さはクラックの早期発生を促進する。改善策として、ガス窒化処理による拡散層深さ70μm程度がヒートチェックの防止に有効である。
  4. 単層膜(TiN、TiC)よりも複合膜(TiC−TiCN−TiN)が耐ヒートチェック性や耐溶損性に有効である。
  5. 仕上げ放電加工状態にガス窒化処理、ピーニング処理を含めた複合処理を施すと放電加工面の改質に有効である。
ヒートチェックとは金型表面が加熱−冷却の繰り返しを受けた時に発生する割れの一種である。傷のある機械加工面や放電加工面では特に発生しやすい。
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